「Tom Yoda Next Frame Award」第1回受賞者の中村光輝監督とアワード創設者である依田巽会長
映像業界に新たな才能の発掘を告げる産声が上がった。国際短編映画祭「Short Shorts Film Festival & Asia 2026(以下、SSFF & ASIA)」で新設された「Tom Yoda Next Frame Award」。第1回受賞者は『ノット・ア・バッド・サウンド(NOT A BAD SOUND)』を手掛けた中村光輝監督だ。アワード創設者である株式会社ティー ワイ リミテッド代表取締役会長、依田巽氏と中村監督が、賞設立の真意や作品に込めた情熱、次世代への期待を熱く語った。(取材・文:磯部正和)
【写真】ジョージ・ルーカス氏との貴重なショットを公開した依田巽氏
■日本の若い才能を世界へ。新アワード設立の思い
【Tom Yoda Next Frame Awardとは】
長年日本のコンテンツビジネスを牽引してきた依田巽氏が、SSFF & ASIAノミネートの中で、学生、もしくはプロとしての活動をスタートしていない若き日本人クリエイターを対象とし、世界を見据えた高い『志』を持つ映像制作の学びと、次なるステージへの挑戦を後押しすることを目的に創設したアワード。既存の枠組みにとらわれず、斬新な切り口や独自の視点で描かれたショートフィルムを顕彰し、映像業界の未来を担う次世代の才能を発掘・育成する新たな登竜門となることを目指している。
――長く映画界に貢献されてきた依田会長ですが、今回のSSFF & ASIAで新アワードを設立された思いをお聞かせください。
依田巽会長:私は長年、日本の音楽や映画などのコンテンツを海外に紹介するビジネスをライフワークとしてきました。東京国際映画祭に携わった経験からも、映画祭を継続することの難しさは理解しており、機会があればSSFF & ASIAに協力したいという気持ちがありました。また、日本の若い才能がどんどん海外に出ていけるよう、インターナショナルな映画祭を支援したいと思い、私自身、コンテンツ業界に少しでも恩返しをしておきたいという気持ちで、今回、SSFF & ASIAへの協賛を決め、新たなアワードを設立することになりました。
――中村監督は、SSFF & ASIAに応募しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
中村光輝監督:僕は大学で建築を学んでいたのですが、多くの映像作品に触れる中で、自分も映像の世界で活躍したいという思いが強くなり、映像を学ぶために大学院へ進学しました。将来的には、映像を通して世界で活躍できるクリエイターになりたいという目標があります。SSFFは世界中から素晴らしい作品が集まる大きな映画祭ですので、自分自身が成長し、さらにレベルアップできるきっかけになると感じて応募させていただきました。
■聴く行為を「観る」映画に。建築の視点が活きる映像表現
――受賞作『ノット・ア・バッド・サウンド(NOT A BAD SOUND)』は、どのような思いから生まれたのでしょうか?
中村光輝監督:現代は技術が発展して便利になる一方で、身近な幸せや現象に気づきにくくなっていると感じています。スマホを触ったりイヤホンを着けたりして、身近なものとの関係が薄れている現代に違和感を抱いていました。そんな中、誰にとっても一番身近な「音」に注目してみると、そこには美しい瞬間や響きが広がっているのではないかと考えました。身近なものにもっと目を向けてほしいという思いが、この作品の一番のテーマになっています。
――77本の応募作品の中から、本作を選出された決め手は何だったのでしょうか?
依田巽会長:デジタル時代で誰でも映画を作れる今、多くの作品が世に送り出されていますが、本作は「聴診器」を使うという意外性に驚かされました。あらゆる音を聴診器で聴き、そこに主観が交じり合って一つの映画になっていく展開が非常に斬新です。最後に登場する、ある出会いにより、主人公が自分の胸に聴診器を当てて自分を悟るという落としどころもユニークでした。「音を聴く」という発想そのものが「観る」映画になっている。こうした意表を突いた切り口を高く評価しました。
――中村監督は建築を学ばれていたとのことですが、その経験は映像制作に活きていますか?
中村光輝監督:建築をやっていて良かったと思うのは、空間の扱い方です。今回の作品でもロケーションには非常にこだわり、室外機の配置ひとつとっても、画(え)として一番魅力的に映るアングルを探求しました。そういった空間や物の配置へのこだわりは、建築を学んだからこそ活きている部分だと思います。身近なものからテーマを見つけるという考え方も、建築をやっていた頃から大事にしています。
■既存の枠にとらわれない、未来のクリエイターへの期待
――今後、この「Tom Yoda Next Frame Award」をどのようなアワードにしていきたいとお考えですか?
依田巽会長:映画はドラマやドキュメンタリー、アクションなどとジャンル分けがされますが、そういった枠にとらわれず、新しい視点や違った角度から掘り下げて「やっぱり映画っていいね」と、世界の人の心を動かすような発想が大事です。若いクリエイターがこの賞をきっかけに映画の世界に入って、ゆくゆくはアメリカン・フィルム・インスティチュート(AFI)の私の奨学生(Tom Yoda Scholarship)になるような、そんな登竜門に育ってくれるとうれしいですね。
――そんな期待を寄せられる中、中村監督は今後どのように映像制作に向き合っていかれますか?
中村光輝監督:作品を作る上では、「誰もやったことのないような新しいものを作ろう」と常に考えています。今回、新しい視点だと評価していただけたことは本当にうれしいですし、これからもその気持ちを忘れずに探求し続けたいです。映像は、自分が作ったもので知らない人の人生を少しでも豊かにできる魅力があります。今後も学びを深め、いろいろな人に良い影響を与えられるような作品を作っていきたいです。
依田巽会長:AFIといえば、SSFF & ASIAのグランプリに冠されているジョージ・ルーカスはAFI Life Achievement Awardを受賞しているレジェンドですからね。実は私、彼と会った時に「『スター・ウォーズ』のヨーダは、僕の『依田』から来ているって聞いているんだけど」と尋ねたことがあるんですよ。真相ははっきりしませんでしたが、否定はされなかったです(笑)。中村監督も、第1回目の受賞者として将来AFIで学ぶことも視野に入れ、世界を舞台に活躍できるようぜひ頑張ってください。
中村光輝監督:はい、大きな期待を背負いましたが、精一杯頑張ります。ありがとうございます!"
【写真】ジョージ・ルーカス氏との貴重なショットを公開した依田巽氏
■日本の若い才能を世界へ。新アワード設立の思い
【Tom Yoda Next Frame Awardとは】
長年日本のコンテンツビジネスを牽引してきた依田巽氏が、SSFF & ASIAノミネートの中で、学生、もしくはプロとしての活動をスタートしていない若き日本人クリエイターを対象とし、世界を見据えた高い『志』を持つ映像制作の学びと、次なるステージへの挑戦を後押しすることを目的に創設したアワード。既存の枠組みにとらわれず、斬新な切り口や独自の視点で描かれたショートフィルムを顕彰し、映像業界の未来を担う次世代の才能を発掘・育成する新たな登竜門となることを目指している。
――長く映画界に貢献されてきた依田会長ですが、今回のSSFF & ASIAで新アワードを設立された思いをお聞かせください。
依田巽会長:私は長年、日本の音楽や映画などのコンテンツを海外に紹介するビジネスをライフワークとしてきました。東京国際映画祭に携わった経験からも、映画祭を継続することの難しさは理解しており、機会があればSSFF & ASIAに協力したいという気持ちがありました。また、日本の若い才能がどんどん海外に出ていけるよう、インターナショナルな映画祭を支援したいと思い、私自身、コンテンツ業界に少しでも恩返しをしておきたいという気持ちで、今回、SSFF & ASIAへの協賛を決め、新たなアワードを設立することになりました。
――中村監督は、SSFF & ASIAに応募しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
中村光輝監督:僕は大学で建築を学んでいたのですが、多くの映像作品に触れる中で、自分も映像の世界で活躍したいという思いが強くなり、映像を学ぶために大学院へ進学しました。将来的には、映像を通して世界で活躍できるクリエイターになりたいという目標があります。SSFFは世界中から素晴らしい作品が集まる大きな映画祭ですので、自分自身が成長し、さらにレベルアップできるきっかけになると感じて応募させていただきました。
■聴く行為を「観る」映画に。建築の視点が活きる映像表現
――受賞作『ノット・ア・バッド・サウンド(NOT A BAD SOUND)』は、どのような思いから生まれたのでしょうか?
中村光輝監督:現代は技術が発展して便利になる一方で、身近な幸せや現象に気づきにくくなっていると感じています。スマホを触ったりイヤホンを着けたりして、身近なものとの関係が薄れている現代に違和感を抱いていました。そんな中、誰にとっても一番身近な「音」に注目してみると、そこには美しい瞬間や響きが広がっているのではないかと考えました。身近なものにもっと目を向けてほしいという思いが、この作品の一番のテーマになっています。
――77本の応募作品の中から、本作を選出された決め手は何だったのでしょうか?
依田巽会長:デジタル時代で誰でも映画を作れる今、多くの作品が世に送り出されていますが、本作は「聴診器」を使うという意外性に驚かされました。あらゆる音を聴診器で聴き、そこに主観が交じり合って一つの映画になっていく展開が非常に斬新です。最後に登場する、ある出会いにより、主人公が自分の胸に聴診器を当てて自分を悟るという落としどころもユニークでした。「音を聴く」という発想そのものが「観る」映画になっている。こうした意表を突いた切り口を高く評価しました。
――中村監督は建築を学ばれていたとのことですが、その経験は映像制作に活きていますか?
中村光輝監督:建築をやっていて良かったと思うのは、空間の扱い方です。今回の作品でもロケーションには非常にこだわり、室外機の配置ひとつとっても、画(え)として一番魅力的に映るアングルを探求しました。そういった空間や物の配置へのこだわりは、建築を学んだからこそ活きている部分だと思います。身近なものからテーマを見つけるという考え方も、建築をやっていた頃から大事にしています。
■既存の枠にとらわれない、未来のクリエイターへの期待
――今後、この「Tom Yoda Next Frame Award」をどのようなアワードにしていきたいとお考えですか?
依田巽会長:映画はドラマやドキュメンタリー、アクションなどとジャンル分けがされますが、そういった枠にとらわれず、新しい視点や違った角度から掘り下げて「やっぱり映画っていいね」と、世界の人の心を動かすような発想が大事です。若いクリエイターがこの賞をきっかけに映画の世界に入って、ゆくゆくはアメリカン・フィルム・インスティチュート(AFI)の私の奨学生(Tom Yoda Scholarship)になるような、そんな登竜門に育ってくれるとうれしいですね。
――そんな期待を寄せられる中、中村監督は今後どのように映像制作に向き合っていかれますか?
中村光輝監督:作品を作る上では、「誰もやったことのないような新しいものを作ろう」と常に考えています。今回、新しい視点だと評価していただけたことは本当にうれしいですし、これからもその気持ちを忘れずに探求し続けたいです。映像は、自分が作ったもので知らない人の人生を少しでも豊かにできる魅力があります。今後も学びを深め、いろいろな人に良い影響を与えられるような作品を作っていきたいです。
依田巽会長:AFIといえば、SSFF & ASIAのグランプリに冠されているジョージ・ルーカスはAFI Life Achievement Awardを受賞しているレジェンドですからね。実は私、彼と会った時に「『スター・ウォーズ』のヨーダは、僕の『依田』から来ているって聞いているんだけど」と尋ねたことがあるんですよ。真相ははっきりしませんでしたが、否定はされなかったです(笑)。中村監督も、第1回目の受賞者として将来AFIで学ぶことも視野に入れ、世界を舞台に活躍できるようぜひ頑張ってください。
中村光輝監督:はい、大きな期待を背負いましたが、精一杯頑張ります。ありがとうございます!"