金沢工業大学は、2030年のSDGs達成に向けた取り組みをさらに加速させるとともに、2031年以降の新たな共通目標である「ポストSDGs」の枠組みづくりへの貢献を見据え、2026年4月1日付で既存の「SDGs推進センター」を「Beyond SDGs推進センター」(所長:平本 督太郎 情報デザイン学部教授)へと改組・発展させました。
本センターでは、これまでSDGs推進センターが担ってきた2つのハブ機能である「学内横断のハブ機能」、「地域・企業・自治体・教育機関など学外の多様なステークホルダーを結びつけるハブ機能」を継承しながら、2031年以降の社会を見据えた教育・研究・社会実装活動を推進します。あわせて、日本の若者が国際機関や海外大学など国際的な舞台で学び、発信し、次世代のルールづくりに参画できる機会の創出に取り組みます。今後は、企業・団体・自治体・教育機関などとの連携をさらに拡充し、国際社会と地方、先進国とグローバルサウス、若者と高齢者をつなぐ実践的な教育・研究プログラムの展開を目指します。
1. 改組の背景とこれまでの取り組み
金沢工業大学では、SDGs達成に向けた教育・研究・社会実装活動を全学的に推進するため、SDGs推進センターを設置し、学部・学科を横断する連携を促すとともに、地域のさまざまなステークホルダーを結びつけるハブとして活動を展開してきました。同センターは、教育、地域デザイン、ビジネスの3つの領域を中心に、次世代リーダーが社会変革を実現していくための支援拠点として機能してきました。現在、国際社会では2031年以降の「ポストSDGs」に向けた議論が進みつつあります。SDGs策定時には、日本の若者が国際的な議論に十分参画できなかったという課題もあり、金沢工業大学では早期から次世代の国際目標を見据えた教育・研究・社会実装の土台づくりを進めてきました。
金沢工業大学は、2021年8月31日に設立された「Beyond SDGsイノベーション学会」の事務局運営に貢献してきたほか、2022年8月には「人生ゲーム」の発売元である株式会社タカラトミー等との連携により「Beyond SDGs人生ゲーム」を開発・発表し、全国の小中高等学校へ配布・展開してきました。同教材は、2030年を目標年とするSDGsの達成に加え、その先の2050年における「脱炭素社会」「循環型社会」「自然との共存社会」「ウェルビーイング社会」を視野に入れた教育・学習を促進するものです。
また、学生団体 SDGs Global Youth Innovators をはじめとする学生主体の活動、ゲーミフィケーション教材を活用した小中高生向け学習支援、企業・自治体・教育機関とのワークショップ、地域課題をテーマとしたプロジェクトなどを通じて、SDGsの理念を実社会の課題解決へとつなげる活動を展開し、若者たちが2031年以降に社会の担い手として活躍するための足場づくりを行ってきました。今回の改組は、こうした実績を基盤に、2031年以降の「ポストSDGs」の枠組み作りに関する国際的な議論に日本の若者や地域社会がより主体的に参画できる環境を整えることを目的としています。SDGs推進センターが培ってきた学内外の連携基盤、学生主体の活動、ゲーミフィケーションを活用した教育実践、地域・企業・自治体との協働の蓄積を継承しながら、2030年のSDGs達成と2031年以降の新たな国際目標を見据えた活動へと発展させてまいります。
2. Beyond SDGs推進センターが担う3つのハブ機能
Beyond SDGs推進センターでは、従来のSDGs推進センターが有していた「学内のハブ」「学外とのハブ」という機能に加え、次の3つのハブ機能を新たに強化します。
① 国際社会と地方をつなぐハブ
国際機関や海外大学などの動向を地域・教育現場・産業界の実践と結びつけ、地方から国際社会へ知見を発信する仕組みをつくります。地域課題の解決を、地球規模課題の解決につなげる学びと実践を推進します。
② 先進国とグローバルサウスをつなぐハブ
ASEANをはじめとするグローバルサウスの教育・研究機関との連携を視野に入れ、日本人学生と留学生、国内外の若者が共に学び、課題解決に取り組む機会を創出します。
③ 若者と高齢者をつなぐハブ
生成AIの普及により社会や学びのあり方が大きく変化する中で、若者と高齢者が互いの知識・経験・発想を活かし合う多世代共創型の学習環境を構築します。特に、結晶性知能を磨き上げる場として「KIT AIティンカリープログラム™」の展開を進めます。
3. 現在推進中の主要プログラム
Beyond SDGs推進センターでは、AI・少子高齢化・国際的なルール形成といった社会変化を見据え、次世代のグローバルリーダー育成に資するプログラムを推進します。
■「KIT AIティンカリープログラム™」の展開
スタンフォード大学教育大学院との連携により、生成AIに思考を明け渡す「チューリングの罠」を回避し、人間の能力を拡張する探究空間「AI Tinkery」を日本で初めて大学キャンパス内に設置します。2026年度より順次、施設・プログラムを充実させていきます。
今後は、学内での展開に加え、金沢工業大学の提携校である中学校・高校の中からモデル校を募り、実証を進めたうえで、全国の中学校・高校への普及を目指します。また、将来的にはスタンフォード大学が展開を想定している世界ネットワークへの参加支援も視野に入れています。
■ サイバーセキュリティプログラムの協働推進
金沢工業大学環境デザイン創成学科 狩野研究室が中心となって立ち上げたプログラム(アジア財団およびGoogle.orgが支援するAPAC Cyber Security Fundがアジア各国で実施するサイバーセキュリティクリニック等)と協働し、AI時代に必要となる高度な専門性と倫理観を備えた人材育成を推進します。
■「SMILE Method™」の改善・普及推進
産学をまたぐ学習・人材育成の手法として、「SMILE Method™(スマイルメソッド、Systemic Mixed-Initiative Learning & Education)」の研究・開発・社会実装を進めます。SMILE Method™は、デザイン思考とシステム思考を融合した「システミック・デザイン」、学習者とAIが状況に応じて柔軟に主導権を交替・共有する「Mixed Initiative」、グローバル社会における多様性を組み込んだ「アントレプレナーシップ教育」を組み合わせた、金沢工業大学独自の学習メソッドです。今後、企業・自治体・教育機関など多様なパートナーとの連携を通じて改善を重ね、AI・少子高齢化時代に適応した実践的な課題解決能力の育成方法を、教育界のみならず産業界にも広げていきます。
4. 日本の若者の国際的な活動参加を支えるご寄付の募集および共創に関するご相談について
Beyond SDGs推進センターでは、教育・研究・社会実装活動を継続的に発展させ、日本の若者が国際的な舞台で学び、発信し、次世代のルールづくりに参画する機会を広げるため、本センターの活動趣旨にご賛同いただける皆様からのご寄付を募集いたします。
本寄付は、金沢工業大学が推進する教育研究充実計画「工学アカデミア計画」に基づき実施するものです。お寄せいただいたご寄付は、Beyond SDGs推進センターが推進する教育・研究・社会実装活動の充実、学生・生徒の国際的な活動参加の支援、国際機関や海外大学等との連携活動、若者が国際的な議論や実践の場に参画するための活動基盤の整備などに活用してまいります。
現在、金沢工業大学では、国際機関が主催する世界サミットでのサイドイベント運営への参画準備や、海外大学での研究発表に向けたプログラム展開など、日本の若者が国際的な舞台で経験を積む機会の創出を進めています。こうした活動を継続的に実施するためには、渡航・滞在を含む活動基盤の整備が重要であり、皆様からのご寄付は、教育研究活動および学生・生徒等の活動支援に活用させていただきます。なお、本学では、無償のご支援である「ご寄付」と、本学との具体的なプロジェクトや課題解決に向けた「共創」を明確に区分して運用しております。ご寄付は、活動趣旨へのご賛同に基づく対価を伴わないご支援として受け入れるものであり、寄付者に対して個別の便益、役務、成果物、広報・広告、共同研究、連携機会等の提供をお約束するものではありません。
Beyond SDGs推進センターでは、ご寄付とは別に、共同研究、受託事業、教育プログラムの共同開発、実証フィールドの提供、国際発信の機会づくりなど、本学との具体的なプロジェクトや課題解決に向けた「共創」に関するご相談も承っております。
金沢工業大学は、企業・団体・自治体・教育機関等の皆様とともに、日本の若者が国際的な議論や実践の場に主体的に参画できる環境づくりを進めてまいります。当センターが掲げる今後のロードマップに関する共創をご検討いただける場合も、ご寄付とは別のご相談として承ります。
本取組に係るご寄付に関するお問い合わせ、ならびに共創に関するご相談は、当センターウェブサイトのお問い合わせフォームよりお寄せください。
お問い合わせフォーム:
https://www.kanazawa-it.ac.jp/sdgs/contact/
Beyond SDGs推進センターへのご寄付について:
https://www.kanazawa-it.ac.jp/sdgs/topics/2026/0626.html
5. Beyond SDGs推進センターにおける今後のロードマップ
ステップ1
金沢工業大学の教職員・学生および連携高校・高校生による、国際機関や海外大学との連携を通じた国際的な舞台への参加促進
ステップ2
他大学および全国の高校・中学校と連携したプログラムの拡大、国際機関・海外大学などとのBeyond SDGsやAIを用いた教育・人材開発に関する共同研究の拡大
ステップ3
国内における日本企業・自治体・教育機関等を巻き込んだ「Beyond SDGs」に向けた活動の活性化
ステップ4
留学生向け基金設立を通じたASEANをはじめとするグローバルサウス出身の留学生と日本人学生の連携促進、ASEAN各国教育・研究機関との協働体制の強化
ステップ5
日本の若者と日本企業・自治体等の連携をはじめとする多様なステークホルダーの連携により、国連関係機関への「Beyond SDGs」に関する提言や、策定プロセスにおいて必要となるエビデンスとしての研究・活動成果を共有
金沢工業大学は、皆様からのご支援をもとに、日本全体が国際的なルールづくりに積極的に参画できる土台づくりに貢献してまいります。
ポストSDGs、Beyond SDGsとは
ポストSDGsとは、2030年を達成年とするSDGsの後継となる世界共通の目標を表す用語です。現時点では、既存のSDGsを延長する案や新たな目標を策定する案、目標数を減らす案など、有識者などから複数の方向性が示されている状態であり、国連からは2027年から2031年以降に関する国際的な議論が開始されることが示されています。他方で、Beyond SDGsとは、SDGsとポストSDGsの双方を含んだ概念であり、進捗が思わしくない現行のSDGs達成のために必要なシステムチェンジや具体的な取り組みと、2031年以降の在り方の双方を並列的に考える際に使われる用語です。呼称も統一されているわけではなく、SDGsが2030 Agendaに含まれた概念であったことから、Beyond 2030 Agendaと呼ぶこともあります。これからの概念においては、SDGsに含まれていなかったデジタルガバナンス/AIガバナンス、宇宙ガバナンス、文化などを含めて議論が行われています。
【関連プレスリリース】
SDGs推進センターを事務局として、SDGsに関する新しい学会「Beyond SDGsイノベーション学会」が新設。9月9日(木)に設立記念シンポジウムをオンライン開催
https://www.kanazawa-it.ac.jp/kitnews/2021/0831_sdgs.html
金沢工業大学がタカラトミー等と開発を進めてきた「Beyond SDGs人生ゲーム」が完成。全国の小中高校等の教育機関を対象とした無償配布の募集を9月8日より開始
https://www.kanazawa-it.ac.jp/kitnews/2022/0909_jinsei.html
SDGsイノベーション教育の充実を目的とし、ゲーミフィケーション教材「Beyond SDGs人生ゲーム」を2月20日(月)に沖縄県に提供。嘉手納高校でのゲーム体験会も実施
https://www.kanazawa-it.ac.jp/kitnews/2023/0306_sdgs-okinawa.html
金沢工業大学、学生主導の「サイバーセキュリティ・クリニック」を推進 ― 生成AI時代のサイバーリスクに対応し、地域の中小組織を支援 ―
https://www.kanazawa-it.ac.jp/kitnews/2026/0218_cybersecurity-clinic.html
次代を担う若者を育成する教育活動をさらに推進 「三菱みらい育成財団」の2026年度助成事業に採択 Beyond SDGs推進センター(高校生対象の生成AIプログラム)と有志教職員グループミライバ(アート型問題 解決能力を醸成する教養教育プログラム)の2つの教育プログラムが採択されました
https://www.kanazawa-it.ac.jp/kitnews/2026/0619_mmfe.html
金沢工業大学が地主アセットマネジメント株式会社との連携により、AI・少子高齢化時代における「Beyond SDGs経営」と「人的資本経営」の普及・推進の検討を開始。
~AIの浸透や少子高齢化といったメガトレンドを踏まえた、2031年以降の新たな経済・社会システムをデザインする~
https://www.kanazawa-it.ac.jp/kitnews/2026/0623_sdgs.html

