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『GIFT』山口智子、玉森裕太との親子シーンに愛着「家に連れて帰りたいくらい大好き」

日曜劇場『GIFT』より (C)TBS

 俳優の堤真一が主演を務める、TBS系日曜劇場『GIFT』(毎週日曜 後9:00)。本作で山口智子が演じるアーティスト坂本広江は、ユニークな感性を持つ奇才で、“我が道を行く”そのおおらかなキャラクターで、伍鉄や息子・昊(玉森裕太)を導いていく。車いすラグビーの熱い戦いが描かれる本作の中でどのように広江を演じ、自身のエッセンスを込めたのか。山口らしい自然体の言葉で、撮影現場での堤や玉森とのほほ笑ましいエピソードも語ってくれた。

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■「ただのスポ根ドラマではない」アーティスト・広江からの“変化球”

――本作の魅力やテーマについて、山口さんはどのように捉えていらっしゃいますか?

この作品は車いすラグビーがテーマですが、ただの“スポ根”ドラマではありません。スポーツを取り上げると、 “勝つか負けるか”ということに目が行きがちですが、本当に「“勝つ”とは?」という、普遍的な深いテーマが潜んでいます。

伍鉄さんが熱く語る「宇宙」の真理は、まさしく「人生」の真理でもありますね。宇宙の星々が軌道を描きながら巡り会うように、私たちの人生にも、巡り来る不思議な出会いの奇跡が満ちているのです。

――その中で、広江は本作にとってどのような役回り・存在だと思われますか?

私たちの日常と “宇宙”を結ぶ役割を担っているかもしれません。人生や宇宙というものは、果てしなく広大であり、勝つか負けるかという二者択一で語り尽くせるものではありません。

勝負という小さな点にとらわれてばかりでは、私たちを取り巻く大きな宇宙空間が見えなくなってしまいます。星々の誕生や滅亡や再生…宇宙には深遠なバランスが満ちています。

勝負というより、「美しさ」を追求してアートを生み出す広江のまなざしや、日本を飛び出して地球をフィールドに生きてきた視野が、このドラマに、全く違う方向からの変化球の風を吹き込めたらいいなと思います。

■「宇宙が大好き」広江との共通項――創作シーンで感じた“神のごとき”体験?!

――ご自身が広江に共鳴するところや似ていると感じる点はありますか?

正直打ち明けると、私は“勝ち負け”ということに全く興味がなくて、“何がなんでも勝つ”というスポ根ドラマが大の苦手です。今回このお話をいただいた時に、プロデューサーの方々に「そんな私がこのドラマに参加してもよいのでしょうか?」と伺いました。

でも「熱血スポ根だけではない、人生のドラマを描きたい」とおっしゃっていただいて。平野(俊一)監督が、最初に車いすラグビーを実際に見に行った時に、選手の皆さんがまるで、大宇宙の中で星々が軌道を描きながら、出会い、別れ、また出会うように見えた、とおっしゃっていて。とても素敵だなと思いました。

私は「宇宙」というテーマに心から惹かれます。実はほぼ毎晩、宇宙に関する映像を見ながら眠りについています。宇宙には、人間の力など到底及ばない、神なるものの真理が存在し、私たちは「生かされている」存在だということを、痛切に感じます。

星々が宇宙の軌道に身を任せるように、私たちも生かされている「今」に心を委ね、この一瞬を最高に輝かせることにもっと素直に集中したら、自ずと素晴らしい出会いへと、宇宙は導いてくれると信じています。「今」を大切に生きることを、このドラマを通して感じていただけたらうれしいです。

――アトリエでの創作活動シーンはいかがですか?

広江の職業は最初は日本画家だったのですが、宇宙がこのドラマのテーマでもあるので、ちょっと枠を広げて、原初の地球が生み出した鉱物や大自然の素材から美を生み出すアーティストという設定になりました。

大きな岩の塊から光を放つ石を削り出したり、天然素材から作る和紙や草木染めも取り入れ、大自然と戯れながら作品を生み出しています。私自身は本当に根気がないので、手工芸は大の苦手なのですが、ドラマの中で石、土、水、植物に触れるひとときには、とても心が癒やされました。

空気と戯れながら薄い金箔(きんぱく)を張ったり、砂の微粒子に息を吹きかけて作品を彩ったり…、もしかしたら神様も、こんなふうに泥をこねたり息を吹きかけるように風を起こしたりしながら、この地球を創ったのかもしれない…と、神話の世界に想いを馳せながら作品を作っていきました。

■玉森の“信念”が灯す道「息子に頼りっきりでした」

――車いすラグビーを実際に見て感じることはありますか?

想像以上に激しいぶつかり合いですよね。全身全霊で突進してゆく純粋な世界。選手の皆さんも、それぞれの個性がとてもユニーク。互いの違いや個性をどう生かしながら、心を一つに結び、美しく強くチームを育ててゆくか。普段からコミュニケーションを重ねて心を通わせ合う時間が、とても大切なのだと思います。

でも広江の役目として、あえて車いすラグビーの世界に没入しすぎないように心がけました。伍鉄もかなりマイペース人間ですが、広江は伍鉄をさらに上回るくらい、我が道を突き進む人間です。かつて昊をお腹に宿しながらも、自分の夢を追いかけて日本を飛び出した歴史がありますから。

車いすラグビーを通して、チームのみんなが「今この一瞬をキラキラと輝かせる」のであれば、広江はアートという道で、「今この一瞬を輝かせる」ことができたらいいなと思いました。それぞれ道は違っても、かけがえのない「今」という瞬間を、全身全霊で愛する素晴らしさをお伝えできたらいいなと思います。

――息子・昊役の玉森裕太さんとはいかがでしたか?

母親役ではありますが、息子がとても頼もしいので、いつも引っ張っていただいています。

玉森くんは優しくて繊細で、一見、傷つきやすいガラス細工のようですが、自身のポリシーや芯をしっかり持っていて、「ついていきます!」と思える頼もしい存在です。昊は音楽の表現者ですが、玉森くん自身もファッションという美の世界を追求されていて、ライブの舞台衣装もかなりこだわって監修される素晴らしいアーティストです。

昊には、迷いながらも自分の心に正直に、美しいものを追いかけたいという強い信念の炎が灯(とも)っています。そしてやはり玉森くんも妥協を許さず、自分の仕事における向上と進化を追求し続けています。昊も玉森くんも、そのまっすぐな純粋さがむちゃくちゃかっこいいです。

――どんなシーンが印象に残っていますか?

撮影現場では“マミー”と呼んでいただいて…昊と広江の何気ない日常の会話のシーンがとても楽しかったです。私たち親子が昔住んでいたハンガリーのお菓子を囲んで、広江が浮かれて「サンタちゃん、サンタちゃん」と歌ったら、その日は上機嫌だった昊が、歌に乗って「サンタちゃん、サンタちゃん」と返してくれて。そんなセリフのキャッチボールがとても面白かったです。撮影後も家に連れて帰りたいくらい、我が息子が大好きです(笑)。

■「同じ時代を走ってきた」堤との初共演――“エロっぽい”シーンの舞台裏も

――堤真一さんとはどのようなやりとりをされましたか?

堤さんとは初共演ですが、同じ時代を一緒に走ってきた同志のような安心感があります。最初から、長年知り尽くした夫婦みたいな気持ちになれました。昭和のネタも振ればすぐパッと返してくれますし(笑)。

戸惑う伍鉄をぐいぐいと巻き込んでいくことが広江の役割でもあるのですが、我が道を突き進む伍鉄と同じくらい純粋な、「子ども心」を失っていない広江であることを心がけました。

――堤さんとは第7話で二人きりになるシーンも印象的でした。

アトリエで二人だけになって、初めて出会った頃の話をするシーンがあります。互いに青春の真っただ中で出会い、恋して結ばれた大切な思い出があります。普段は全く色気のない二人ですが、アトリエという聖域で、ちょっとエロいぐらいの精神的なラブシーンになるといいなと思いました。

映画「ゴースト/ニューヨークの幻」(1990年)のろくろを回すシーンみたいに(笑)。ものを生み出す芸術も、新たな命を生み出す男女の愛も、突き詰めると生命の誕生の鍵を握る大宇宙の神秘でもありますね。

■広江のメッセージ、“暗黒”が意味するもの――ドラマの注目ポイントは?

――第8話からは広江がブルズのユニフォームデザインにも携わっていきます。

広江のセリフにも、ブラックホールやダークマターという宇宙の暗黒物質が登場します。でも暗黒は「無」ではなくて、たとえ見えなくても確かに存在する命の源であり、母なる故郷です。

ブラックホールは、不安や葛藤や苦しみの比喩でもあるけれど、その“暗黒”から星々の輝きが生まれ出る。チームのエンブレムには、心を一つにしてエネルギーを結集し、ブラックホールから「光」を生み出そうよ!というメッセージが込められています。

――視聴者の方に「ここを見てほしい」という注目ポイントを教えてください。

結局広江は、「勝っても負けても、どっちでもいい。もっと大事なことってあるよね?」と思っています。もし負けたとしても、それはさらなる進化への通過点でしかありません。負けたことから、新たに何を生み出せるか? それこそが人生の勝負です。

心を一つに「今」を大切に生きる。かけがえのないこの一瞬を、どれだけ輝かせることができるか。
いつも私たちは大宇宙から、その勝負を試されている。それこそが神様からの「ギフト」かもしれません。このドラマを通して、皆さんそれぞれの「ギフト」を探してみてください。"