ルーキーながら開幕投手を務め、見事に勝利を手にした若者は浦和の2軍施設で黙々とトレーニングを行っていた。ドラフト2位ルーキーの毛利海大投手は2軍合流後、自分のピッチングと向き合い、練習を続けている。
「まず球の数値を戻そうと。だいぶ戻ってきてはいる。あとはフォームも含めていろいろと取り組んでいる。ある程度は修正できている。あとは結果を出すだけ」と毛利。その目は虎視眈々(たんたん)と1軍返り咲きを目指す闘志にあふれていた。
悪夢のような試合だった。6月10日のドラゴンズ戦(ZOZOマリンスタジアム)。3回、10失点で負け投手となった。毛利は「10失点は人生で初めてだと思う。あんな止められなかった体験は今までになかった。初めての経験」と悔しそうに振り返る。そして「全てが悪かった。ストレートも変化球も全部。自分でコントロールできていなかった。特に変化球。必然的にストレートしか投げるボールがなくて、それを狙われて打たれた。止めたかったですけど、止められなかった」と唇を噛んだ。
その試合、打たれても代えられなかった。初回に5失点。二回に1失点。三回にも4失点。「普通なら代えられる。何かつかめということかなと思った」と毛利。あえてマウンドに送り続けてくれたベンチのメッセージを感じ取った。
試合後に2軍落ちが決定。監督室でサブロー監督と向き合った。ベンチで見守っていた指揮官からは開口一番、「何が悪かったか、自分なりには分かっているのか?」と問われた。そして技術論を含めた考えを丁寧に話し合った。その中で「マウンドさばきに自信がなくなっているように見える。開幕の時はもっと大胆にテンポよく投げていた」とも指摘された。振り返るといつの間にか自分らしさを失っていたことに気付かされた。
「思えば開幕の時は怖いもの知らずで、ガムシャラに、思いっきりいけていた。それなのに今、思うと1軍ローテで回してもらっているうちに、新人なのに、いい結果を出して絶対に勝たないと駄目みたいな気持ちに勝手に自分を追い込んで力んで、それが空回りしていた」と毛利は分析する。
「早く上がりたい」と1軍のマウンドを切望する。ただ今ははやる思いを抑え、2軍でやれることをじっくりと取り組んでいる。1軍ではなかなか取り組めなかった課題やトレーニングに打ち込み、いつ声がかかってもいいように準備をしている。ベテラン選手とも会話をしてさまざまな大事な金言をもらいハッとさせられる日々。ドラフト同期全員で焼肉を食べに行って飛躍を誓い合ったこともあった。2軍に落ちたことは悔しいが、貴重な時間を過ごしている。
球団では76年ぶりとなる新人開幕勝利を挙げ、一躍、脚光を浴びた22歳左腕は今、2軍で自分をしっかりと見つめ直し、さまざまな事を学び吸収し成長をしている。一回り大きくなった姿で1軍のマウンドに舞い戻る。